私の珈琲
私は私の珈琲が大好きだ。

私の珈琲
365日ずっと傍にいて私の好みを知り尽くした私が淹れる珈琲より美味い珈琲がこの世に存在するはずが無い。その「私の珈琲」好きが高じて、ついに職場にも私の珈琲を持っていくようになった。
小さな魔法瓶に珈琲を入れて出勤する。仕事の合間に啜る度、遠足の時に持たされた砂糖たっぷりの甘い紅茶の喜びが蘇る。遠い日の甘い記憶まで蘇らせる苦い珈琲、たまらない。
どんどんと私の生活に私の生み出した物が満ちていく、マイ弁当、マイ珈琲・・・なんたる喜び。しかし膨張していく喜びに反して自由な時間や睡眠時間が減っていく、翌日のためにおかずを作ったり、珈琲豆を買いに走ったり、そして早起き。
朝早く起きて豆を挽く、正直に言えばもっと寝ていたい。二度寝、三度寝を貪ることも喜びだ。睡眠欲と食欲の綱引きだ、シーソーだ、椅子取りゲームだ、どちらが勝っても嬉しいが、睡眠欲が大勝すると遅刻してしまうし、珈琲と弁当を買わねばならなくなるので食欲を応援したい。
食欲が勝って今日も早起き出来た。今日の珈琲もまことに美味い。
クリタケ